
特に日本にいた頃、お客様はこうなりたい、こうしたいと言う方が多かった。
理美容師がお客様にサービスを提供するにあたって必要不可欠なツール、それがカウンセリング。
自然と、お客様のニーズを汲み取り、今の様々な要素を踏まえて判断して、希望になるべく近いスタイルを提供する。という、対応型のカウンセリングスタイルが自分の中で確立されていた。
技術には自信があったので、お客様の要望、外せないポイントという制約の中で、ベストを尽くす。お客様の100点満点にいかに近付けるか、と言うのが腕の見せどころだと思っていたと思う。
対応型に対して、提案型のカウンセリングスタイルのスタイリストもいたけど、僕はお客様のニーズと違うものを提供するかもしれない事に関して疑問を感じていた。提案したものとお客様のニーズがずれていたら?本当に求めたものを提供できないのでは?と思っていたので、自分には合わないと思っていた。
2016年、渡越。
ベトナムに来てすぐに、僕は海外のお客様と日本のお客様との違いに困惑した。
「あなたはどう思いますか?」
お客様からそう尋ねられる事が多いのだ。
そう言えば前に聞いた事があった。
日本での美容師の社会的地位って、他の国に比べてどうなんだろう、というもの。
イギリスや他の国の一部では、美容師は医者や弁護士等の職業と同等の地位として扱われるという。
医者の意見が日本でも重要視されるように”美容師の意見”にもフォーカスされているような感じだろうか。
僕は、僕たちの提供するサービスはニーズありき、だと思っていたので、お客様にバシバシ意見を求められる環境で、逆に、自分がいかにお客様のニーズありきの美容師となっていたか、という事を痛感した。
お客様は、あなたの意見、あなたにとっていいスタイルにしてほしい。
僕は、お客様のニーズにより近づけたい。しかし、お客様のニーズは僕にとっての、”こうあるべき”という僕の意見に限りなくフォーカスされているのだ。
つまり、圧倒的に、自分のスタイルというものが不可欠となる。
そんな毎日を過ごすうちに、僕はベトナムで、技術とも文化とも違う思わぬ成長が出来ていると思う。
自分という美容師像の確立。
こうあるべき。こうだ。僕はこう思う。
と言うのを日本にいた時よりも持てるようになったと思う。
それは、仕事に限らず、ありとあらゆる面で物事に対して対応型のレンズでモノを見ることが多かった中で、自分自身で、”自分の意見、自分の考え”と言うものをフォーカスして、自分の居所を意識する、というクセが付きつつある。
僕はもともとそんなにゴリゴリいくタイプでは無いので、極端にローカル化することも無いだろうし。
海外でのカウンセリング。海外でのニーズ。
海外生活を通して、もっと自分のスタイルを持っている人、にならなければ!と痛感させられると同時に、大きな成長へと繋がったと思う体験でした。
ベトナム ハノイ 日系美容室 オーブジャパン 伊藤星太AUBE JAPAN hanoi viet namHAIR DRESSER ItoSeita